あらゆるエネルギーと調和し、己の限界のその先へと挑むアーティスト・丹羽名甫

美術雑誌「ユニベール・デザール」局長
パトリス・ド・ラ・ペリエール

丹羽名甫は実に多才なアーティストである。まずは日本画家である母親のもとで芸術のイロハを学び、書道・油彩・水彩などのあらゆる分野に触れると共に茶道や香道といった芸術にも勤勉に取り組んだ。
その後、彼女が新境地を開くきっかけとなったのはイタリアでの外遊である。墨絵の技術と品格、そしてそれに対する西洋絵画の豊かな色彩と風土や気候 - この両者の違いに開眼した事によって、「品格と端正」をモットーに、書と西洋絵画の精神を融合した丹羽名甫特有の新しい墨絵「墨アート」を確立するに至ったのである。力強く鮮やかにレイアウトされた作品と、内に込められた日本の真髄は独特の美しさを放つ。これもまた彼女の芸術が国内外で高い評価を受ける所以である。現に、ドバイにて2018年、中東最大規模のアートフェアに出展、翌2019年にはニューヨークのジョージ・ビリス・ギャラリーにて個展を開催している。

丹羽名甫の創作は、日本刀の一斬りの如くシャープな筆調とその卓越した筆捌きを物語っている。力強い所作や一筆の精密さといった点で、書道も居合道と等しい武道と言っても過言ではない。彼女の作品からは、思いを貫く情熱と、人が避けがちな「自己の限界を更に超えて」いこうとするアーティストの意志を感じることができる。丹羽名甫という芸術家は今後も必ずや、ギャラリーや展示会で私たち愛好家を驚かせ続けるであろう。宇宙やそこに存在するあらゆるエネルギーと調和する手段 - それが彼女にとってのアートである。彼女の多くの作品は稲妻さながらに炸裂し、その漲る原動力は観るものに働きかけてくる。心の眼を通して観てみると、彼女の書からは不思議な何かが沸き上がり、それがやがて鮮明に映し出されてくる。もしかするとこれは、天と地・体と心を繋ぐ何かではなかろうか?
開花を待つばかりの大いなる可能性を内に秘めた丹羽名甫。彼女が追い求めひも解く芸術は今後も更なる成長を遂げ、愛でる者にかけがえのない喜びを与えるに違いない。

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