エルミタージュ美術館学芸員 アレクセイ・ボゴリュボフ
現代に生きる日本人アーティストとして、20世紀初頭に見られた前衛芸術以降のアートの在り方を模索し、独自に実験を重ねながら表現を続けるアーティスト・丹羽名甫。古くから受け継がれてきた伝統的な手法を極限まで単純化し、ごくシンプルでありながらも強烈なパワーを有する独特の表現を用いて、彼女は人々を魅了する作品を生み出し続けます。
丹羽氏は、作品を通じて「簡潔に生きること」の美しさ、その重要性を観る者に伝えます。一見してシンプルな手法にも関わらず、「静と動」、「明と暗」、「プラスとマイナス」、「喜びと不安」をはっきりと描き分ける、その表現力には脱帽しました。
また、色に対する感性についても目を見張るものがあります。作中に多く用いられている金色からは、特に強い意志を感じました。彼女の金色には、日光のような穏やかな温もりではなく、どちらからと言えば我々人間が体の内側に抱える感情そのもののような熱いエネルギーが宿っているようです。
丹羽氏の表現は実に多彩です。静寂のなかに光る哲学的なメッセージや、計算され尽くした構図の妙、踊るように軽やかな墨の動きには何度も心を揺さぶられました。一方で、バラエティに富んだ表現のなかには確かな一貫性があり、どの作品を見てもそれが彼女の手によるものだということは誰の目にも明らかです。書の歴史と心を知り尽くし、墨の「黒」が持つ特別な意味合いを芯から理解する丹羽氏だからこその表現は、人々に深い衝撃を与え、惹きつけます。
抽象の世界に新たな道を拓き、日本人アーティストとして唯一無二の表現を追求しながら、彼女は今後さらなる高みへと前進を続けるでしょう。
エルミタージュ美術館学芸員
アレクセイ・ボゴリュボフ
現代に生きる日本人アーティストとして、20世紀初頭に見られた前衛芸術以降のアートの在り方を模索し、独自に実験を重ねながら表現を続けるアーティスト・丹羽名甫。古くから受け継がれてきた伝統的な手法を極限まで単純化し、ごくシンプルでありながらも強烈なパワーを有する独特の表現を用いて、彼女は人々を魅了する作品を生み出し続けます。
丹羽氏は、作品を通じて「簡潔に生きること」の美しさ、その重要性を観る者に伝えます。一見してシンプルな手法にも関わらず、「静と動」、「明と暗」、「プラスとマイナス」、「喜びと不安」をはっきりと描き分ける、その表現力には脱帽しました。
また、色に対する感性についても目を見張るものがあります。作中に多く用いられている金色からは、特に強い意志を感じました。彼女の金色には、日光のような穏やかな温もりではなく、どちらからと言えば我々人間が体の内側に抱える感情そのもののような熱いエネルギーが宿っているようです。
丹羽氏の表現は実に多彩です。静寂のなかに光る哲学的なメッセージや、計算され尽くした構図の妙、踊るように軽やかな墨の動きには何度も心を揺さぶられました。一方で、バラエティに富んだ表現のなかには確かな一貫性があり、どの作品を見てもそれが彼女の手によるものだということは誰の目にも明らかです。書の歴史と心を知り尽くし、墨の「黒」が持つ特別な意味合いを芯から理解する丹羽氏だからこその表現は、人々に深い衝撃を与え、惹きつけます。
抽象の世界に新たな道を拓き、日本人アーティストとして唯一無二の表現を追求しながら、彼女は今後さらなる高みへと前進を続けるでしょう。